Flyby Anomalies : 重力と特異点- feminism / queerness / art / activism -

Flyby Anomalies : Gravity and Distinctiveness:feminism / queerness / art / activism

フライバイ・アノマリーズ : 重力と特異点 : フェミニズム/クィアネス/アート/アクティヴィズム

日時
2025年11月29日(土)13:00〜17:30(受付12:30〜)
会場
東京藝術大学 美術学部 中央棟1F 第1講義室

〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8 Google Map
JR上野駅 公園口より徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅より徒歩15分、京成線 京成上野駅より徒歩15分

料金
無料 ※要予約

ご来場された方に、無料のリトルプレス(冊子)を差しあげます。

定員に達したため、予約受付を終了しました。

言語
日本語/英語(逐次通訳、英語から日本語のみ:Art Translators Collective 内山もにか、森本優芽、水野響)
UDトーク有り

登壇者

碓井ゆい、遠藤麻衣、近藤銀河、嶋田美子、
シャロン・ヘイズ、スカウェナティ

モデレーター

塩野入弥生、宮越里子、井上絵美子

フェミニストやクィアとしての生が政治的に脅かされ、資本に支配されようとしている現在、アートとアクティビズムは圧し掛かる「重力」–––家父長制、異性愛規範、シスジェンダー主義、エイブリズム、資本主義、ナショナリズム、レイシズム––にどのように抗い、これらに対してどのように批判的な創造をしうるのだろうか。
本シンポジウムでは、アートとアクティビズムの両方と対峙しながら、各々の領域で実践する六名のアーティストを国内と海外から招聘し、各々の実践がどのように「重力」に対して予測不可能な「特異点」として突破することができるかを討論します。
討論されるテーマは、フェミニスト・クィアのアクティビズムの歴史的再考、教育現場とアクティビズム、先住民の未来主義、アートとテクノロジー、アートの「中立」への批判、帝国主義と家父長制の結託を問うフェミニズム表現に対する規制と自由など、多岐に渡る予定です。
この討論は安全な着地点を目指すものではなく、むしろ宇宙で遭遇するであろう<異常/アノマリー>のようにあり続けることを目指します。

登壇者

碓井ゆい

アーティスト。身の回りの素材や手芸の技法を用い、社会制度や歴史についての批評や考察を平面・立体作品で表現する。近年の主な展覧会に「夜明けの荒野を走って」(新宿愛住館、2025)、「SENSE ISLAND/LAND 感覚の島と感覚の地」(横須賀市各所、2024)、「ケアリング / マザーフッド :「母」から「他者」のケアを考える現代美術」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2023)などがある。

https://yuiusui.com

遠藤麻衣

身体の政治性を主題に他者との共同作業を通じて作品を制作する。クィア・フェミニズム理論における「受動性」や「失敗」をパフォーマンスや映像で実践し、人間/非人間らの関係性を再創造している。近年は、1970年代以降のニューヨークにおける非制度的タイムベースド・アートをアーカイブするFranklin Furnaceのリサーチャーとして調査、執筆、展覧会を実施。また、日本のストリップショー文化を再解釈し、踊り子の宇佐美なつとともにパフォーマンス映像《オメガとアルファのリチュアル》(2024)を国立西洋美術館で発表。2018年より丸山美佳と「Multiple Spirits(マルスピ)」を刊行。2021年東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻博士後期課程修了。

https://maiendo.net/

近藤銀河

アーティスト、美術史家、パンセクシュアル。中学の頃にME/CFSという病気を発症、以降車いすで生活。主に現代から見てレズビアン的と見える西洋美術を研究するかたわら、ゲームエンジンやCGを用いてセクシュアリティをテーマにした作品を発表する。単著に『フェミニスト、ゲームやってる』(晶文社、2024)。アーティストとして、カクバリズムのTill Yawuhさんのアルバム「Still Sounds」ジャケットを担当し、Vtuberの温泉マークさんの「ねんねんころり」のMVを担当。

https://gingakondo.wordpress.com

嶋田美子

アーティスト、60 – 70年代オルタナティブ文化研究。1959年東京、立川に生まれる。1982年米国スクリップス大学卒。2015年、英国キングストン大学より博士号(美術史)取得。作品テーマは第二次世界大戦の文化的記憶とジェンダー。作品は、2025年ベルリンビエンナーレ、2019年あいちトリエンナーレ「表現の不自由展、その後」など国内外で展示されている。著作に「おまえが決めるな!」(白順社、2023)、「ニルヴァナからカタストロフィーへ」(オオタファインアーツ、1997)など。

https://www.otafinearts.com/ja/artists/63-yoshiko-shimada/

シャロン・ヘイズ(Sharon Hayes)

シャロン・ヘイズは映像、パフォーマンス、音響、そして公共に展示される彫刻作品を用いて、歴史、政治、言説が交差する特定の領域を明らかにするアーティストである。それは単純化された歴史的な語りを解体し、そして現代の政治状況への対抗的な理解を形成することができるような、現在は止まってしまっている経路を再び呼び起こすためである。作品の中で、彼女は政治的な抵抗が現れる文法—言語的、情動的、音響的な—に留まり続ける。現在、ペンシルベニア大学ワイツマン・デザイン大学院美術学科の学科長を務めている。

http://shaze.info/

スカウェナティ(Skawennati)

マルチメディア・アーティストのスカウェナティは都会に暮らすカニエンケハカ(モホーク)の女性として、そしてサイバーパンクのアバターとしての視点から、力強く生きる先住民の人々の姿を描く。またカナダ・モントリオールのコンコルディア大学に拠点を置く、リサーチと創作のためのスタジオAbTec(Aboriginal Territories in Cyberspace/サイバー空間における先住民の領域構築)の共同ディレクターを務めている。同大学は、遠い昔に彼女が美術学士号を取得した出身校である。マシニマ(ビデオゲームのグラフィックエンジンを用いて作られる映像作品)、彫刻、テキスタイル、インスタレーション、そしてファッションのカプセル・コレクションなど、彼女の作品群は広く世界中で展示・収蔵されている。

https://skawennati.com/

【2025.12.14まで、限定公開】
《リチェルケ: 4(Ricerche: Four)》(2024年)

登壇者のお一人であるシャロン・ヘイズさんのご厚意により、ヘイズさんの代表的なシリーズの一つである《リチェルケ: 4(Ricerche: Four)》(2024年)の映像をvimeo上で2025年12月14日までの期間限定で閲覧することが可能となりました。

本作は、イタリアのピエール・パオロ・パゾリーニ監督によるインタビュー形式のドキュメンタリー映画作品に着想を得ており、LGBTQ+年長者のグループに対して、彼らの愛に対する考え、彼らが生きてきた人生、そして彼らのコレクティヴ・アイデンティティについての質問を投げかける内容となっております。

(大変申し訳ございませんが、日本語字幕はついておりません。英語字幕はvimeo内の右端にあるCCで設定することができます。クレジットは概要に記載されております。)

リチェルケ: 4(Ricerche: Four)》(2024年)

https://vimeo.com/reviews/7332f57f-2ccd-4970-ae5f-ce10fc3dbd2a/videos/917705100

Little Press

Little Press(冊子)

※おひとり様、1冊無料配布

寄稿者

パネルゲスト6名の作品、Q&Aも掲載

Flyby Anomaliesとは

『Flyby Anomalies』は、人工衛星や探査機が地球近傍を通過する際に観測される微小な軌道のずれ――物理法則では説明しきれぬ不可解な変化〈地球フライバイ・アノマリー〉に着想を得ました。私たちはこの現象を、フェミニズム、クィアネス、アクティヴィズムの実践に重ねています。

シモーヌ・ヴェイユは重力を「人間が抗えぬ現実の力」としつつ、その支配を破る「恩寵」の到来を信じました。私たちが直面する制度や抑圧の重力的支配もまた厳しさをきわめていますが、その只中でこそ、予期せぬ軌道の変化が訪れるのです。

また、ダナ・ハラウェイの思想を重ねれば、この変化の瞬間を特異点として捉えることを可能にします。重力の只中にあっても、わたしたちは「関係性を編み直す」ことが出来る。異なる種や主体が交わり、関係が組み替えられるとき、強固に信じ込まされている〈規範〉の軌道をはずれ、新たな現実がひらかれるでしょう。

このシンポジウムは、「重力」の作用を逆手にとるように、遠く離れた土地や境界を超え、引き寄せあい、集いながら、フライバイ・アノマリーさながら予測不能な軌跡を描こうとする試みです。